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危険! 英語の熟語(イディオム)
2013年11月 3日 西巻尚樹
英語のいろいろな表現の説明として
「熟語(イディオム)」
とか
「慣用表現」
という言葉がよく使われます。
たとえば、
be good at ~ : ~が上手だ
のような表現です。
たいていは、このような3点セットで「丸覚え」しています。
危険! 「丸覚え」
けれども、「丸覚え」はとても危険なことです。
なぜなら、 be good は、常に at という前置詞を使っているわけではないからです。
手元の辞書を引いてみてください。
at 以外にも
be good in ~ :~が上手だ
be good with ~:~が上手だ
be good on ~ :~が上手だ
be good for ~ : ~が上手だ/向いている
be good to ~ :~に合っている
など、いろいろな使い方があります。
さらに、辞書には載っていないのですが、ネット上ではいろいろな組み合わせで使っており
be good of ~
be good through ~
be good behind ~
be good of ~
などもあります。
現代は、ネット検索で「普通の英語表現」が直ぐに見られるようになりました。
皆さんも検索してみてください。
"good * math"
と入力すると
good at math
good of math.
good about math
good with math
good in math
などの組み合わせ用例が出てきます。
ネット上の英文を見ると、日本の学校で習っている英語と、ずいぶん雰囲気が違っていることに気づきます。
VSOPを手伝ってくれているバイリンガル・スピーカーがよく言いますし、海外駐留している(た)方などからよく聞くのですが
「英語は、人によって使い方が違う」
ということです。
どの前置詞を使うかは個々人の趣味やその場の状況・気分の問題らしいのです。
各前置詞の表している「話し手の気分の違い」を知る必要があります。
手っ取り早く安直に英語らしくしようとするために、結局は
「日本の英語教育がガラパゴス化しているのは?」と心配しています。
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つまり
be good at は
日本の熟語集に載っているのですが「固定化された表現ではない」ので
「熟語(イディオム)」とか「慣用表現」として、「前置詞を固定して丸覚え」してはいけません。
重要なのは「個々の前置詞の意味や働き」です。
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個々の前置詞の意味と働きは、順を追って掲載していきたいと思います。
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もともと「イディオム:idiom(慣用句)」という言葉は
「元の言葉の意味からは分からないような固定化された意味で慣用的に使っている表現」
という意味が第一義にです。
文末に"idiom" の英英辞典での説明を挙げておきます
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文法的説明ができない組み合わせ=イディオム(慣用句)?
ところが、日本ではこの「イディオム:idiom」という言葉を
「文法的な説明ができない言葉の組み合わせ」
というような意味合いで使っている場合が多いようです。
★本来のイディオム:idiom と言える表現
It rains cats and dogs. 犬や猫[のよう]に、雨が降るのは、
⇒ 土砂ぶりの雨が降る。
to beat about/around the bush 藪の辺りを叩く
⇒ 遠まわしに言う,本題に触れない
It's a piece of cake それは、ケーキの一片です。
⇒ とても簡単だ。お茶の子さいさいです。
これらの表現は「元の言葉の意味からはなかなか想像できない固定化された意味」で使われます。
⇒ その言語の表現様式が分かっていても、意味を習わないと分からない表現」
これが「イディオム:idiom」です。
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誤用されている「イディオム:idiom」
けれども、日本では以下のような表現も「イディオム(慣用句)」と呼ばれる場合が多いようです。
go against the tide 大勢/時勢に逆らう
go scot-free 税や罪を免れる
go off the deep end かっとなって無茶なことをする、向こう見ずな行動をとる
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このような go を使った表現は、
「おのおの言葉の意味からは、それら全体の意味が日本人につかみにくい」
ために
「イディオム:idiom」と呼ばれれています。
けれども、これらは「英語の言葉の意味の通りに組み合わせて使っているごく普通の表現」ですから、
本来、イディオム(慣用句)と呼ぶのは不適当なのです。
"go" を「~へ行く」と誤訳しているので、そのまま訳すと意味不明になります。
ですから、このようなgo を使った表現が日本で「イディオム(慣用句)」と呼ばれるのです。
go ■■ は、「■■ の状態で事態が動いていく」という補助的な意味を表しています。
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この go の本来の意味を入れた訳してみると
go against the tide 潮目(大勢/時勢)対立して動いていく
tide は「潮目・潮流」という意味ですが、
「世論などの風潮, 傾向, 形勢」という意味も持っています。
言葉の意味の通りです。
go [off] scot-free 税や罪から免れて自由な状態で動いていく、
※ scot:tax or fine(税金又は罰金) の古語です。
本来は、go off だったようですが、off が抜けて使われる場合が多いようです。
税金又は罰金から自由になる ⇒ 苦役から逃れる
これも言葉の意味の通りです。
go off the deep end 深い端で/に/へ向かって離れるように動いていく
この表現は、go off [at/of/to/into/on/onto/down] the deep end
のようにoff とthe deep end の」の間にいろいろな前置詞が使われるのですが、
「慣用的に前置詞を抜いて使う」場合もあります。
「飛び込み台のような高いところから、深いところに飛び込む」というような使い方が具体的な使い方ですが、
go off the deep end with depression (意気消沈して)
のような言葉を伴って、「かっとなって無茶なことをする、向こう見ずな行動をとる」というような場面でも使います。
go は「『うごいている』という意味を表す補助語」で、後ろの■■ が動きの内容を表しています。
off が「離れる」、[to/into]the deep end が「深みの際に向かって」となっているのですから
これも、言葉の意味の通りになっています。
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このように考てくると、これらの go を使った表現は
「言葉の意味の通りに組み合わせて使っているごく普通の表現」 ⇒ 英語のロジックです。
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「go が、意味の中心の動詞」、「go の後ろの言葉」は「補語(C)」または「修飾語:副詞」
というような名付け方をしたので「言葉の組み合わせ方と文法的な説明が食い違ってしまった」
ために「文字通りの意味で使っている」ことに気づけなかったのです。
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本当の英語の使い方は?
S-V-O-P ワンパターンです。
Vは「話し手の判断」で、
V1+[Mid]+V2
と、3つの要素で考えるVSOP英文法では、
これらの「熟語(イディオム)の組み合わせ規則」は、ワンパターンになっていることが分かります。
今の英文法で、「動詞が中心で、前置詞がおまけ」的なズレた刷り込みをされているために
本当の英語の使い方が分からなくなっています。
この刷り込みから抜け出て、
本当の英語のロジック=英語アタマ
「前置詞が意味の中心語で、動詞が補助語」
を身に付けるには、
英語の S-V-O-P 構造を理解すればよいのです。
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今のとこと、VSOP英文法の講座をお受け頂くしか方法はありません。
上記の全項目の書籍化は、まだできていなからです。
長い間の悪しき刷り込みから抜け出るには、それ相応の時間がかかります。
本当の「前置詞の意味と働き」 を説明するだけでもかなりの時間がかかります。
もし、このカルマから抜け出られなかったら、
残念ながら、一生「ワカッタ!」と思えないはずです。
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# idiom noun
1. fixed expression with nonliteral meaning: a fixed, distinctive, and often colorful expression whose meaning cannot be understood from the combined meanings of its individual words, for example, "to have somebody in stitches"
2. natural way of using a language: the way of using a particular language that comes naturally to its native speakers and involves both knowledge of its grammar and familiarity with its usage
3. stylistic expression of person or group: the style of expression of a specific individual or group
4. ARTS distinguishing artistic style: the characteristic style of an artist or artistic group
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