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五文型とは? ① 第1文型&第2文型
2013年9月22日 西巻尚樹
現行の学習英文法に関して、英文法の専門家で適切だと評価している方は非常に少数です。むしろ、この文法による弊害を主張している英語の専門家・堪能者のほうが多いくらいです。
その原因を作っているのが「動詞中心の解釈=五文型英文法」なのです。
英語の教師でも、この考え方が無駄だと考え、あえて教えない方もたくさんいます。
けれども、一端、学習英文法の基本に据えられてしまったので、日本中でまことしやかに「動詞が分かれば英語が分かる」というようなフレイズがはびこり、「五文型は重要だ」的な講釈がネットでも氾濫しています。
そして生徒・学生達は「混乱する」か「投げる」か「あきらめて丸覚えする」かという深刻な選択を迫られています。
この「動詞中心の解釈」が、日本人を英語病に取り憑かせている張本人だということを強く意識しなけばなりません。
今後、順を追って、五文型的英語の解釈法と、そのVSOP的解決方を説明します。
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「動詞が中心」は、「地球が中心」と同じ発想
「大昔の人々は、自分達が立っている地面は平らで、空がその周りと動いている」と思っていました。このような時代に、一生懸命天体の運行の観測を続け、その規則性を説明するために「地球が太陽の周りを回っているのだ」と主張したガリレオはバカ扱いされました。
「動詞が中心」という考えは、天動説と似た「言語解釈」と思われます。
現行の英文法は、イギリス人(オックスフォード大学が中心)がラテン語文法を模して300年くらい前に作りました。
https://www.vsop-eg.com/vsop/q-and-a/q04.php
英語はアングロ・サクソン語と呼ばれる、北ヨーロッパのゲルマン人の言葉がもとだと言われています。
ラテン語は、南ヨーロッパのラテン人の言葉です。
住んでいる地域と使っている民族の違いを考えれば、現行の英文法の問題点が見えてくるはずです。
「英米人が作って、何百年もの伝統のある考え方だから、適切に決まっている」と信じるのは、「聖書の記述が一字一句間違いのあろうはずはない」と思うのと似た考え方です。
実際の天空の動きを精緻に観察して得られたいろいろな現象が、天動説では十分に説明できないので地動説という考えが生まれました。
「動詞中心の解釈:五文型的英文法」では、説明できない英語事象がたくさんあるので、VSOP英文法ができました。
多分「五文型では説明できない表現」の方が遙かに多いでしょう。
五文型の分類は、今まで、たまたま、おこなわれてきた「一つの解釈法」に過ぎません。
「自分が五文型英文法を通じて勉強してきて、もの凄い苦労して、英語ができるようになった」という理由で、この文法体系の内容をきちんと分析せずに、絶対正しい」と主張するのは、「神の言葉」を、科学的な証拠の一つに列挙するのと同じように感じられます。
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第1文型:S+V+M 「~は、Mで、・・・する」
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例文 ⇒
He works. (彼は働く)
He works in an automobile manufacturing plant.
(彼は自動車工場で働いている)
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◆ 一般的解説
この文型をつくる動詞は、目的語をとらないから自動詞であり、また補語もとらず、それだけで独立して意味の完結する動詞なので完全自動詞と呼ばれます。
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◆VSOP的説明
この文型をつくる動詞は、完全自動詞と呼ばれます。
この解説は、不適切です。
なぜなら、work は、自動詞・他動詞、両方の使い方をするからです。
皆さんも、辞書で work の項をちょっと読んでみてください。
※電子辞書では、このことはわかりにくいので、厚手の印刷のものが良いでしょう。
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つまり、「work は、完全自動詞」と決めつけてはいけないのです。
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◆ work の 他動詞の使い方
He works his men long hours. 彼は使用人を長時間働かせる.
He works his men to the bone.彼は使用人をヘトヘトに働かせる.
He worked work himself to death.彼は自分を死に向かうように働かせる.
これらは、五文型的英文法では、S+V+O+M(副詞[句])の使い方と分類されます。
更に
He most assuredly won't hit that under VT in 2013 and he may not find an NFL team willing to work him a few years to get to that point.
というような使い方もあります。
これは、五文型的英文法 では説明しません。
つまり、work を「第1文型の動詞」とまじめに覚えた方は、work の使い方が解らなくなるのです。
五文型的英文法は、まじめに覚えた方(私がそうでした)を、混乱させるのです。
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◆ work の自動詞(第1文型)の使い方 の補足説明
work は、第1文型:S+V+Mで使う「完全自動詞」だから、後ろの修飾語(副詞句:M)は文の要素としては、不可欠ではない」
というような説明も、日本人を適切な英語から遠ざけています。
イギリス人で、彼の英文法書の功績で男爵に叙された Randolph Quirk (ら)は、 「SVの後ろの修飾語(副詞句:M)は不可欠な要素である」として A(=Adverbial:副詞的要素)という言葉の働きを導入し、S+V+A としています。
つまり、S+V だけでは十分な情報が伝わらないことに気づいたのです。
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引用:New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998
【自】Ⅰ
1 〔動(+【副】)〕働く, 仕事をする; 勉強する, 研究する 〈on, away〉
work 43 hours a week 週に43時間働く.
work very hard 一生懸命に仕事[勉強]をする.
work on [away] till late at night 夜遅くまでせっせと働き続ける.
Men working ahead. 《米》 〔掲示〕 この先道路工事中 (《英》 Road works ahead).
2 〔+as+【(代)名】〕〔…として〕働く
She works as a nurse. 彼女は看護婦として働いている.
3 〔+for+【(代)名】〕〔…のために〕働く
He never had to work for a living. 彼は食うために働く必要は一度もなかった.
4 〔+toward+【(代)名】〕〔…を〕めざして努力する
They're working toward settling the dispute. 彼らは紛争解決に向かって努力している.
5 〔+under+【(代)名】〕〔人などの下で〕働く
I hate to work under her. 彼女の下で働くなんてまっぴらだ.
6 〔+【前】+【(代)名】〕〔…に〕勤めている, 職についている 〔at, in, for〕
He works at [in] a bank. 彼は銀行に勤めている.
She used to work for an oil company. 彼女は以前石油会社に勤めていた.
7 〔+【前】+【(代)名】〕〔…を〕勉強する 〔at〕; 〔…に〕取り組む 〔at, on〕(注受身可)
She's working at her thesis. 彼女は論文に取り組んでいる.
He's working at social reform. 彼は社会改革に携っている.
He's working on a new play. 彼は新しい劇に取りかかっている.
The problem has been worked on for three years. その問題に取り組んで3年になる.
Ⅱ
1 [しばしば well などの様態の副詞(句)を伴って] 〈器官・機械などが〉動く, 運転する; 〈車輪などが〉回転する
My watch doesn't work. 時計が動かない[故障している].
The xerox machine is not working. 複写機は停止中である.
The hinges will work better with a little oil. そのちょうつがいは油少しを差すとよく動くようになるだろう.
My brain isn't working well today. きょうはどうも頭がよく働いていない.
2 〔+【前】+【(代)名】〕〈機械などが〉〔…によって〕動く 〔by〕; 〈車輪などが〉〔…を軸に〕回転する 〔on〕
This machine works by compressed air. この機械は圧縮空気で運転する.
Ⅲ
1 [しばしば well などの様態の副詞(句)を伴って] 〈計画などが〉具合よくいく; 〈薬などが〉ききめがある
The plan did not work well in practice. その計画は実際にやってみるとうまくいかなかった.
Will your idea work? 君の考えはうまくいくかな.
It works. (現に)うまくいっている.
The drug works like magic. その薬は不思議なくらいによくきく.
2 〔+on+【(代)名】〕〈薬などが〉〔…に〕ききめがある
This medicine doesn't work on me. この薬は私にはきかない.
Ⅳ 〔+in+【(代)名】〕〔…を〕材料に細工をする
work in silver 銀で細工をする, 銀細工をする.
Ⅴ
1 〔+【前】+【(代)名】〕〔人・感情などに〕働きかける, 影響を与える 〔on, upon〕
語形
形式ばった表現では worked を wrought とすることがある
Poetry works on the mind of the reader. 詩は読者の心に働きかける.
The appeal wrought powerfully on him. その懇請は彼の心を大きく動かした.
2 〔+【前】+【(代)名】+to do〕〈…するように〉〔人に〕働きかける 〔on, upon〕
They worked on me to vote for him. 彼らは彼に投票するように私に働きかけてきた.
3 〔+against+【(代)名】〕〔…に不利に〕働く
The scandal will work against him. そのスキャンダルは彼に不利に働くだろう.
Ⅵ
1 〔+【副(句)】〕徐々に[努力して]進む, 次第に出る[抜ける]
The root worked down between the stones. 根が次第に石の間に張っていった.
The wind soon worked round to the north. 風はまもなくだんだんと北に変わってきた[いった].
We worked slowly along the shelf of rock. 岩棚を一歩一歩進んだ.
My elbow has worked through the sleeve. 服のひじが抜けてきた.
The ship is working eastward. 船は東へ向かって航行している.
2 〔+補〕徐々に[いつのまにか]〈…に〉なる
The window catch has worked loose [off]. 窓の留め金がゆるんで[取れて]きた.
Ⅶ 〈顔などが〉激しく[ぴくぴく]動く, ひきつる
Her face worked with emotion. 彼女の顔はひきつった.
Ⅷ 発酵する
The yeast hasn't begun to work. イースト菌はまだ発酵し始めていない.
引用終わり-----------------------------------------------------
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He works. だけの文は、その場の状況が決まっている応答でしか使わないというように読み取れませんか?
He works. は第1文型:SV で、完全自動詞の文です
という解説が、
あなたの英語力向上の邪魔をしていませんか。
これが教えられる教師は「本当に有能な教師」でしょうか。
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実際の英文は、もっといろいろな言葉がついて、意味を持つ文にしています。
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My uncle works hard every day to feed his larag fameily.
(私のおじは大家族を養うために毎日大いにがんばっている)
これくらいの長さでようやく「文としての体裁」がとれます。
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◆ 第2文型:S+V+C 最も日本人を混乱させる文法事項
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◆ 一般的解説
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(2) S+V+C(「~は・・・である〔になる〕」) 〔S=C〕
この文型をつくる動詞は、主語をなんらかの意味で補足説明する語(補語)をとらなければ意味を完結することができません。このような動詞を不完全動詞といいます。
〔注〕 不完全動詞には、be動詞(is、am、are)のほか appear、become、come、fall、feel、get、grow、keep、lie、look、prove、remain、seem、sound、turnなどがあります。
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別サイトで
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第2文型の代表的なのが・・・・
・be動詞(~である)
※:「存在する」の意味では第1文型(There is a hotel.)
・look(~のように見える)
※:「見る」の意味では第1文型(I look at you.)
・seem(~のように見える)
・smell(~の匂いがする)
※:「においをかぐ」の意味では第3文型(I smell the bread baking.)
・sound(~のように聞こえる)
・taste(~の味がする)
※:「味わう」の意味では第3文型(I tasted garlic in the meat dish.)
・feel(~の感じがする)
※:「触感を感じる」の意味では第3文型(I feel a pain in my chest.)
・become(~になる)
・get(~になる)
※:「得る・与える」の意味では第3、4文型(I get a car for him. I get him a car.)
代表的なのが上記したものです。
すごく代表的なのでぜひ頭に入れて下さいね。
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【VSOP的解釈】
【今の英文法に従って書かれている辞書で調べると】
上記の動詞は、
・第2文型でしか使わない ⇒ come、remain、fall、seem
ごくわずか
・第1文型でも使う ⇒ be、appear、lie、look、prove
・第1文型でも第3文型でも使う ⇒ keep、feel、sound、turn
というふうになっています。
つまり、「多くの用例を収集した権威ある辞書」と記述自体が異なる内容になっています。
皆さんもご自身でいろいろな辞書を引いて調べてみてください。
(たいていの方は嫌だと思いますが)
でも、自分の目で確かめることはとても重要なことなのです。
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このようなことがどうして起こるのかというと
このような記述が各種文法書やネット上で見受けられるのは、OXFORD大学やCAMBRIDGE大学などで作られた大元の原典から、子引き・孫引き・ひ孫引きで作られているため、自分できちんと調べていないからではないかと思われます。
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★★★ 「補語:Complement」という言葉は、適切か?
もっと気になるのが、この第2文型:S+V+Cで使われる「補語:Complement」ということばです。
My dream comes true some day.
このような使い方の時のcome が不完全自動詞で、 ture (実現する)が形容詞なので「補語:Complement」と呼ばれています。
これって本当でしょうか?
come true= 実現する
ture が意味の中心語です。
どうして「意味の中心の言葉を、補語:Complement」と呼ぶのですか?
これが、私が中学の時に英語の先生に聞いた質問です。
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「西巻!うるさい。補語だから、補語なんだ。黙って覚えろ」
この言葉が、VSOP英文法を作らせたのです。
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come が補助語で、「~になる」という意味です。
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現行の英文法を強く信じている人の意見
◆動詞で文型が決まる ネイティヴは文型を意識せずに、動詞によって文型を組み立てているようです。
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【VSOP的理解】
予め文型は「SVOP」と決まっていて、そこに思いつく動詞をはめているだけ。
基本動詞(have、get、make、run、give、take、put、set など)の場合、
同じ動詞が以下の4通りの使い方ができます。
※ come と go は自動詞の使い方しかしない。
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① 主語の行為を表す自動詞の使い方
② 主語の状況の変化を表す自動詞の使い方
③ 目的語にさせる行為を表す他動詞の使い方
④ 目的語に状況の変化させる他動詞の使い方
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動詞によって文型が決まっているわけではありません。
で、
Verb □□(いろいろな言葉) で、動詞の後ろの □□ が意味の中心になります。
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このことは「Get the real:英語参考書」の Chapter 3 に詳しく書いてあります。
是非ご熟読ください。
「世界で一つだけの英語教科書」は、VSOP英文法の広告塔的読み物です。
「Get the real:英語参考書」が理論書です。