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名詞節・形容詞節・副詞節:区別付きますか?
2011年9月19日 西巻尚樹
that節には、名詞節・副詞節・形容詞節の3用法がある? ホントでしょうか?
英語を勉強する場合、I think that we believe in the current grammar.のような文の
that 以下の部分を、「that節」と呼び
「that節には、名詞節・副詞節・形容詞節の3用法がある」
と習います。
これって、きちんと区別付いていますか?
多くの方は、
「that節は分かるんだけれど、用法分類が分からないのよね」
今日は、「実は、区別付かなくて当然だ」ということを説明してみます。
このことは「Get The Real…英語参考書」の Chapter 13 で説明しています。
※「to-不定詞に名詞・副詞・形容詞の3用法がある?」ということに対する疑問の解決は、「無料資料」をダウンロードしてください。
私たちは、現行の文法が日本人にとって英語の学習するのに適していると信じています。
というような日本語に対して、いろいろな表現が可能です。
① We [do] believe that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
② We are sure that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
③ We are convinced that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
④ We have a belief that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
⑤ We are of the belief that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
⑥ We are believers that the grammar is suitable for the Japanese to learn English.
私が調たところ、このような6通りの基本表現が可能であることが分かりました。
Weの後ろの「信じている」という部分は、今の英文法が説明するところの文法形式(品詞)は違っていますが、日本語に訳すとほぼ同じ意味になります。
もちろん、使っている言葉の意味が違いますから、発話の意図や細かいニュアンスは違っています。
これらを今の[5文型]英文法で解釈すると、以下のようになります。
(文法のための文法談義になっているのでたいていの方は以下の分類は読まない方が良いでしょう)
① believe は 「他動詞」なので S+V+O 第3文型
that 節は、believeの目的語:Oなので名詞節
② are sure は、「be +形容詞」でsureは補語 S+V+C+A 第2文型の特殊形
sure という形容詞を修飾しているので
that 節は、根拠を表す副詞節:M
③ am convinced は、「be +過去分詞=受動態」 「受動態」は文型からは除外されている
第3文型:S+V+O の態の変換されたもの
that節はconvincedを形容詞と考え副詞節:M
理由:convincedを「形容詞」と考えるのは be の後ろで使われているので②と同じと考えるから。
④ have a belief は、「他動詞+目的語」 S+V+O+M 第3文型
that 節は、同格の名詞節、又は形容詞節
理由:
1.名詞節と考える場合
that節が直前のa belief の内容の言い換えになっているので「同じ内容を表している」から。
2.形容詞節と考える場合
that節が直前のa belief の内容を言い換え、修飾していると考えるから。
⑤ are of the belief 「 be +前置詞句」 S+V+M+M 第1文型?(説明できない)
※この表現には「適当な解説が見あたらない」 that 節は、同格の名詞節?、又は形容詞節?
be +前置詞句の場合は、 be が完全自動詞で、前置詞句は副詞句(=修飾句)とされる。
that節は、the belief の言い換えなので名詞節に
になるはずだが、 be of the belief という使い方が、文型に分類できない。
be of the belief を be+補語と考えると副詞用法になる。
⑥ are believers 「 be +名詞」 S+V+C+_ 第2文型?(説明できない)
※この表現には「適当な解説が見あたらない」 that 節は、同格の名詞節?、又は形容詞節?
be +名詞 の場合は、 be が不完全自動詞で、
名詞は補語とされる。
that 節は、「?同格の名詞節?」にもならないし
believers 修飾している「?形容詞節?にもなっていない。
一般的な英文法で説明できない表現は、教えられないので習っていない。
「習えない」ということが今までの英文法の最大の問題点です。
①から⑥というように、下に行くに従って日本人が分からない表現になっており、最後の⑥は、よほどの英語の達人でないと知らないようです。
日本人が知らない理由
・今の英文法で文法的な説明ができない表現は「学校・予備校で教えられていない」からです。
これはとても深刻なことであって、「どんなに賢い人間でも、習っていないことは、知らない」からです。「知っていなければ、使えません」
● このような解釈が、日本人の英語学習に適しているでしょうか?
学者・教師以外の人は、先ほどのような説明は見たくもないはずです。理由は多分、
・文法用語が難しく用語の定義や意味が覚えられないので、文法は嫌い
・言葉の使い方を品詞で説明しているが、各々単語に品詞がたくさんあり覚え切れない
・品詞の定義がよく分かっていない:
※どんな語句を「名詞(句・節)・副詞(句・節)・形容詞(句・節)と呼ぶか習っていないか、忘れてい る場合が多い。
・文法用語の理解が目的はなく、英文その物を理解したい
最後に、これが一番の問題だと思われますが、「説明自体、変なんじゃないか?」でしょう。
「変だ」と感じる理由は、
「同じような意味、働きになっている部分に、何でまったく違った用語を使って説明をしているのだろう?」
だと思われます。
英語は「屈折語」から「孤立語」に変化した言葉だと言われています。
その過程で、「語形変化や品詞で言葉の働きを決める」のではなく、「語順で言葉の働きを決める」ようになったのです。
英語教育は英文法に支配されている
現行の英文法は、「説明不能」な表現が至る所にあり、そのような説明不能な表現は多くの「慣用表現」と「構文」と呼ばれて、文法的説明はしないようになっています。
にもかかわらず、このような説明をする英文法を元に、現在の日本の英語教育は成り立っています。
気づいていない方が多いのですが、「すべての英語学習システムは『英文法理論に従って』組み立てられています。
「中学・高校の英語教育」から、「受験予備校」、「TOEIC受験指導」でも、果ては、「英会話スクール」、小学生・幼児のようなKids向けの英 語教室に至るまで、日本の英語教育システムは「この変な英語解釈をする文法理論に従って英語を身に付けるように」できています。辞書も同様です。
そして、日本人が知らない「ネイティブな[慣用]表現」がたくさんになってしまうのです。
「英文法なんて要らない!しゃべれれば良いんだ!」とお思いの方がほとんどだと思います。
けれども、それは「無理」なことなのです。私達は英語圏に住んでいませんから、母語である日本語を身に付けた後では、英語の使い方の約束(英文法)を日本語を通して知らなければなりません。
つまり「英文の作り方の規則(=英文法)」を「日本語の説明」で納得しなければ、理解できませんし、覚えられないのです。
特定の「慣用表現」を一文ずつ覚えていったとしたら「英語のロジックが身に付くまで、幼児から身に付けるように、多大なエネルギーと時間を消費してしまいます。
何故なら、現在「イディオム(慣用表現)」と呼ばれている言葉を調べていくと、あとからあとから出てきて、無限と思えるほどその数を増していきます。
大人になって母語を持った人間には、文作りの規則性(=英文法)を理解せずに、無限の言葉の組み合わせを覚えることは不可能に思えます。
「英会話は英作文の連続だ」ということを忘れてはいけません。英作文に文法は不可欠です。
日本人がなかなか英語が使えるようにならないのは、「英文法に従って英語を身に付けようとしている」からではなく、実は「この変な説明をする英文法に従って英語を解釈している」からだと思われます。
現行の英語教育システムの元になっている英文法が、日本人の英語理解に適切でないためなのです。
人によって解釈がまちまち!
いわゆる「5文型の分類を中心とした今の英文法」は、その中に論理的な整合性を持っていません。
ですから、先ほどの例文の説明は、英語指導者によっていろいろな変化形を持ちます。
例えば、学習用ではなく英語教師の指導用のための文法書などでは、②のような「be+形容詞+that-節の場合、上記のような分類は無理に区別する必要は無い」と解説しているのはご存じでしょうか。
―――be sure that ……や、 be afraid that ……は、be sure of …や be afraid of …が、
believe や fear などの「他動詞と同等の働き」をしており、of の省略された形である―――
(「教師のためのロイヤル英文法」より)
このような考えに従うと、
始めに、「be + 形容詞 of …」は「第2文型:S+V+C+Aである」と言い、「他動詞+目的語」は「第3文型:S+V+Oである」と言い、わざわざ「別だ」と定義した文が、途中から「実は同じ文型ですよ」と言っていることになります。
はじめに「別の文型だ」と分類をして、結局、最後は「同じだ」と言い直すのであれば、何のために品詞で分けたのか、その理由は見あたらなくなってしまいます。
さらに、⑤・⑥のような言い方は、ほとんどの日本人は知りません。それは、その項で説明したように「今の英文法では説明できない言葉の組み合わせ」だからです。文法で説明できな表現は、教えられません。ですから、多くの日本人はこの表現を知らないのです。
英語学習は、常に、英文法に支配されています。
そして、さらに、あまり知られていない似た意味を表せる表現として以下のようなものもあります。
※以下の文は、バイリンガル・スピーカーに教えてもらって表現です。
We are for the belief that…
私たちがその信念に賛同しているのは[それは]that以下である
We are under the impression that ……
私達が印象の下にいるのは、that以下である
また、逆の内容になりますが、こんな言い方もあります。
We are through with the belief that…….
私たちにとってその信念はうんざりしているのは、
これらも、今の英文法に乗らないので、あまり教えられていません。熟語(イディオム)として「覚えるもの」になっている場合がほとんどです。
また、まったく別の文法形式とされている “It’s … that …. ” の形をしている場合も「ほぼ同じ意味」になる表現があります。
It is our firm belief that … 私達の確信は、that以下である
It is without doubt that … 疑いがないのは、that以下である
さらに、以下のように言っても同じような意味になります。
We have arrived at the belief that …
私達が至っているのはその信念で、[それは]that以下である
We settled on the belief that…
私たちが落ち着いたのはその信念で、[それは]that以下である
ところが、このようなthat節の用例が学習の場に登場する頃(高校の後半学年)には、[5文型]英文法の考え方や用語はいつの間にか影を潜め、 「決まり文句」、「慣用表現」、「熟語(イディオム)」という言葉が、あたかも「文法用語」として使われるようになります。その時、このような「慣用表現 的言い方」に5文型英文法的な説明を求めるちょっとマジメな生徒がいると、教師の言い分は決まっています。
「いやぁ、5文型っていうのは、方便のようなもので、すべてが説明できるわけではないのですよ。英語は慣用表現が多く、説明できな使い方が多いんですよね。言葉のニューアンスを覚えましょう」
数学や理科で、教える内容や説明が教師によって違えば、教わる方は大いに混乱します。けれども、不思議なことに英語は、教える人間の英語力によって教え方が大きく異なっています。それは、説明の元になっている英文法に整合性・統一性がないか らです。理解する側が「自分なりの拡大解釈を加えないと納得できない」ようになっているのです。各人の各様の解釈によって、いかようにも変えられるのが、 今の英文法なのです。多くの英語の専門家も「今の学習英文法は変だ」と言っています。そして「より分かりやすい英文法への模索」が最近学会でも行われてい ます。
斯くして、英語教育は「百家争鳴」の体(てい)をなしています。
真面目に今の英文法に従って英語を理解しようとすると、各人が「英文法研究家」を志すことになり、そして、その泥沼で藻掻き苦しみ、最後は、「決まり文句」、「熟語(イディオム)」、「チャンク」というような救済の言葉に光明を見出すことになります。
簡単で、正しい理解法とは
VSOP英文法は、これらの今の英文法でバラバラな説明になっている言葉の使い方を、「同じ働きをしている言葉(文節)」として統一的にとらえます。
なぜなら、「同じ位置で、同じような意味を表しているから」です。
そして、この考えを推し進めていき、最終的に「英文の作り方は、一つのパターンしかない」ということを発見したものです。その手法は極めて単純です。
つまり、
「主語の後ろ言葉」を、品詞で分類をするのでなく、「話し手の判断を表している」と「言葉の働き」で考えます。
{前部分 後ろ部分} ⇒ 前後2つの言葉が組んで、「品詞によらず同じ働き」をしている
① We [do] believe(動詞)
② We are sure(形容詞)
③ We are convinced(過去分詞)
④ We have a belief(名詞)
⑤ We are of the belief(前置詞句)
⑥ We are believers(名詞)
この考えの文法的根拠は、do/does/did ・ is / was / are ・have/has・should などが、
今の英文法でも「助動詞=オペレーター」
となっているところにあります。
違いは、
「一般動詞の現在形・過去形は、do/does/did を内包して『定動詞:Finite Verb』になっており」
「他の言葉は be+形容詞 やhave+名詞 が、『定動詞:Finite Verb』と同等の働きをしている」
と考えるところです。
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判断操作語+判断の内容語
上記のように、一般動詞の前に助動詞 ”do” が隠れていると考えると、「主語の直ぐ後ろの言葉」は、「2つの部分が組んで、一つの働き」をしています。
「主語の後ろの言葉」は、品詞によらず「同じ働き」なのです。
前部分の do と be とhave は「オペレーター (操作語)」として同じ働きをしています。
後ろ部分: believe、sure、convinced、a belief、of the belief、believers が
「意味の中心を表しているコンテンツ(内容)部分」
になって、品詞によらず同じ働きをしています。
今まで「動詞(Verb)1語で構成されている」とされている部分は、
実は、「2語で意味を形作られており、動詞以外のいろいろな言葉も、動詞と同じ働きで使っている」のです。
このように考えると、「[do] ・ be ・have のような[助]動詞」のオペレーターに対して、後ろのコンテンツの部分は「動詞・形容詞・名詞」という3種類の言葉が中心に使われていることになります。 さらに「have+名詞」という所有を表す表現を加えて、形式的に4通りあります。これは、不思議と日本語の使い方と対応しています。「日本語の述語」も 「中心の言葉」は3種類に分けられ、「~がある/いる」を足すと4通りになります。
主語・述語 主語、述語 述語の品詞
① 何が、どうする。 私は、信じる。 動詞
② 何が、どんなだ。 私は、確信的だ。 形容詞・形容動詞
③ 何が、何だ。 私は、信者だ。 名詞
④ 何には、~がある。 私には確信がある。 名詞がある/いる
もちろん、英語と日本語はロジックが違うわけですから、これらの日本語表現がそのまま英文に対応するわけではありませんが、日英共通しているのは「述語的な判断」に「動詞・形容詞(形容動詞)・名詞という3種類の言葉を使う」ということです。別の言い方をすれば、「話し手の判断を表すのに、『動詞という単独の品詞だけ』を使っているわけではない」ということです。
にもかかわらず、今の英文法では「Subject(主語)+Verb(動詞)+Object(目的語)」のように構成要素を表し、主語の後ろの部分を全て「動詞」という特定の品詞に限定しています。
主語の直ぐ後ろ言葉を「動詞という品詞名」でとらえると、先ほど述べた今の英文法の複雑な説明になります。
日本語の「述語」と同じでように、この部分を「言葉の働き」としてとらえると、先ほどの用例は、皆「同じ働き」をしていることになります。
そして、この考えに従って英文を分析していくと、
あらゆる英文が 限りなくOne Pattern に統一されて使われている
ことに気づきます。
このOne Pattern を S-V-O-P と表記します。
このS-V-O-Pという語順規則をきちんと体得すれば、どんな英文でも文頭からりかいできるようになるのです。
VSOP英文法での理解は、ここから出発して、すべてここに戻ってきます。
つまり、日本語文法と同じように、言葉の働きを「文節の働き」と考え、
「言葉の働き」を「品詞から独立させて考える」ようにすると、
英語は単純な語順で使っていることになるのです。
これで、英語理解はかなりの「軽量化」され、日本人の直感に適合するようになります。